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レザーの服というのは、つくづく特殊です。素材としての背景はもちろん、そこに宿るイメージも、他の生地にはないものばかり。グラフペーパーでも、近年そんなレザーのアイテムが増えていますが、それをつくっている当の南貴之本人は、実はレザーをほとんど着ることがないのだとか。なぜ、南はそれでもレザーをつくり続けるのか、そして、そんな南でも欲しいレザーウェアとは、一体どんなものなのか。いつにも増して、レザーのバリエーションが豊かになった秋冬のグラフペーパー、その理由を尋ねます。

Interview & Text_Rui Konno

―今季のコレクションのお話を聞いていても感じたんですが、最近のグラフペーパーはレザーのアイテムがすごく増えましたよね?

そうだね。俺自身はレザーってほとんど着ないんだけど、グラフペーパーのお客さんには好きでいてくれる人がすごく多くて。だいたいのアイテムは私的につくってるんだけど、レザーは自分が着ないからこそつくりやすいというか。

―客観視ができるということですね。

そうそう。自分だったらこういうレザーだったら着るな、みたいな。そう考えると結局これも私的だね(笑)。民主的につくってるっていう感覚は全然ないです。

―数年前にレザーのトラックパンツがリリースされたり、スエードのバギーショーツが出た辺りからさらに革のイメージが強まったように感じていました。

いつも言うけど、俺たちはやっぱり考え方があべこべだからね。個人的にレザーっていう素材にもともと抑圧的なイメージがすごくあって。着心地もそうだし、やっぱりどうしても気を遣うなって。それで、もっとイージーなレザーがあったらなっていうところから始まって。

―せっかくなので、南さんが感じているレザーの苦手なところ、もっとお聞きしていいですか?

うーん。…たぶん、俺が嫌いな感じの人がレザーをよく着てる気がするんだよね。ものすごい嫌な言い方をしちゃうと。

―久々に暴論の予感がしますね。

いやいや!(笑) 個人攻撃とかじゃないんだけど、典型的な「ロックだぜ!」みたいなファッションとか、いかにもバイク乗ってそうでしょ? みたいな人に多い気がするけど、強そうに見せるための服としてレザーを着てる人っていうのかな。そういうのが正直、ちょっと苦手で。

―気合いを入れて着てるぞ! っていうことですよね。そこに微笑ましさも感じつつ、南さんの気持ちもわかる気がします。

でも一方で、他にはない素材感だし、プロダクトとしてはやっぱりすごい魅力的だとも思っていて。個人的には表面にあんまり光沢のないものが好きだから、ヌバックのシャツとかは特に気に入ってつくってます。

―定番化してきましたよね、このシャツも。

うん。シンプルで、ちょっとアウターっぽく着れるシャツだから、これをひとつ羽織ってるだけで成立するなって。
- Sheep Nubuck L/S Regular Collar Shirt

―素材感、すごくきれいですよね。きれいすぎて逆にモールスキンみたいにも感じます。

触ってみるまで革っぽくないかもね。でも、そういう上品さみたいな部分はすごい大事だと思ってる。それに、やっぱりレザーらしく経年変化はしていくから、そういう意味でも面白いアイテムだなと。見えがかりももちろん大事だけど、最終的には触ったときの感覚で素材を選ぶので、このレザーに出会ったときに「こういう素材のシャツジャケットみたいなものって、意外とないよな…」って感じて。こういうものなら、俺も着られるかなって。

―汎用性も高くて実用的ですしね。

うん。こういうものを普段から、楽にガシガシ着られたらいいのになっていうのはいつも考えてます。

―レザーは価格が張る分、どうしても付き合い方も慎重になりがちですよね。

だから、質にはこだわってるけど値段も高くないほうがいいよなって。生地は好きだから、レザー以外でも気になってピックアップした生地の値段を聞いたらとんでもない金額だったりすることが多々あるんだけど。

―革の種類の話で言うと、このブルゾンとかは今までのグラフペーパーにはあまりなかった重厚感のように思います。
- Cow Leather Raglan Blouson

これはベースになったミリタリーウェアがあるんだけど、そのディテールを取り入れながらつくっていて。確かユーロものだったかな。リブとかはちょっとスポーツっぽくしたり、イージーなものにはしてるんだけど。

―形も質感も新鮮ですね。

実は今季のレザーのいくつかは、素材の段階ではちょっと印象がハードすぎるかな…と悩んだんだよね。けど、この秋冬のコレクションはミリタリーがキーワードのひとつになってるから、今回はそれもいいかもなって。

―こっちのジャケットの型は継続していますよね?
- Hairy Suede Corbusier Jacket

これはもろにコルビュジェジャケットだね。前から続けていて、ありがたいことに今も欲しいと言ってくれる人が多くて。今までは表革だったけど、今季は初めてスエードで。わざと加工で毛羽立たせたレザーです。

―なるほど。こっちはまたミリタリーベースですか?
- Sheep Mouton Deck Jacket

うん、デッキジャケット。元は表面がコットングログランで裏地にアルパカが付いてるんだけど、それをひとつの素材でつくれないかなと。ムートンでつくればライニングも必要ないよな、っていうところから始まってます。上品にしたかったから裏側の毛は刈り込んできれいにしていて。裏地がないから見た目に反して軽いし、めちゃくちゃあったかいよ。襟を立てて着てもらってもいいなと思ってます。

―やっぱり今回はレザー、特に多彩ですね。

それを意識してつくったっていうのは正直あるしね。今はシンセティックを使うところも多いけど、自分としては偽物って言ったらアレだけど、そういう代替品の革を使うことに意味合いを感じられなくて。固執してるわけじゃないから、そういう素材でしか出せない質感があるとか、本物の革だとつくれないものがあるとか、意味が見出せたら全然それでもいいと思ってるんだけど。うちのレザーをつくってくれてるのは昔からずっとワガママを聞いてくださってる工場だし、その人たちと一緒にやるべきだなって感じてるところはあります。

―時代や社会的な側面も含めて、考えさせられる素材ではありますもんね。その分、長く着られるものであって欲しいなと思います。

そうだよね。これなら、俺も着られるんじゃないかな…って思ってつくったんだけど、どうだろうね。寒くなってみないと、やっぱりわかんないな(笑)。



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