「コラボ」や「別注」の謳い文句が溢れ、話題性ばかりが先立つ現代で、本当にお互いの個性と向き合った共同製作とは一体どんなものだろうか?
グラフペーパーはケイシーケイシーとの初のコラボレーションを通して、他者とのセッションの原点と言うべきそんな疑問に立ち返りました。
デザイナー、ギャレス・ケイシーの指揮のもとで粛々とものづくりを続けてきた彼らの視点と、彼らから見たグラフペーパーらしさの同居を叶えた、全4型のカプセルコレクション。
寡黙なそれらの服に込められた、静かな想いとストーリー。
セレクトショップとしてのグラフペーパーで、ケイシーケイシーというブランドの取り扱いが始まったのは今から9年前、2016年のこと。
トラディショナルさとコンテンポラリーな美意識、どちらも感じる彼らのコレクションは
アウトプットの形こそ違えど、私たちグラフペーパーのビジョンと共鳴するものでした。
そこから月日が流れ、グラフペーパー 青山が10周年というこのタイミングに、初めて彼らとともに製作したカプセルコレクションを発表します。
被服において特に生地を重要視するグラフペーパーでは、通常コラボレーションの際には相手となるブランドに自分たちの生地を提供して服づくりを行いますが、今回の試みではカラーやイメージを彼らにリクエストするに留め、素材使いはすべてギャレスをはじめとするケイシーケイシーチームに一任しています。
ファブリックを洗い、染めたり加工を施すことで表現される、彼らの世界観を壊したくなかったからです。
型についても同様で、今回製作してもらった4アイテムはベースとなるモデルをすべてケイシーケイシーがインラインでこれまでに展開してきたものの中からピックアップ。本来テーパードが強めだったパンツはグラフペーパーらしいワイドシルエットにアレンジされていますが、あくまで元のスタイルは踏襲しながら印象や見えがかりを刷新しています。
コラボレーションと言えど、あくまで長年続けてきた両者のものづくりの延長にあるべきで、普段そのブランドが到底やらないようなアプローチは避けるというのはグラフペーパーのずっと変わらない姿勢です。目先のインパクトよりも、互いのクリエイションへの敬意こそが、共同製作においては重要であると私たちは信じています。
どのアイテムも年月が経っても魅力が褪せず、着込むほどにムードと愛着が増すはず。
すべての服にグラフペーパーのネームが付くのは私たちも想定していなかった、ギャレスの粋な計らいです。今回のコレクションに際して、両者の名前が並ぶ特製の下げ札とジャーナル、美しくも力強いイメージビジュアルをパリから送ってくれたギャレスとケイシーケイシーの面々に愛を込めて。

願わくば、私たちが楽しんでつくったこのコレクションで、袖を通してくれる人たちの日常が少しだけでも豊かなものになりますように。
CASEY CASEY for Graphpaper
カプセルコレクション
Text by Rui Konno
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