Graphpaperでニットといえば、ハイゲージとハイデンシティ。原料から製品までそれぞれの特徴とこだわりどころをディレクター南貴之が紹介します。
僕はニットが好きなので、クルーネック、タートルネック、カーディガン、ベストなど毎日でも着れるように、同じものを山ほど持っているんです。だからニットは、通年用のハイゲージと真冬にも暖かいハイデンシティの2種があれば事足ります。
High Gauge Crew Neck Knit / High Gauge Knit Cardigan
まず、ハイゲージニットは、以前はちょうどいい厚みのゲージ数ということで、12ゲージで作っていたんですが、どうも好きになれず、よりハイゲージまでもっていきたいと思っていました。国内ではなかなか作れるところがなかったんですが、なんとかできるというニット工場を見つけることができました。春夏シーズンは、僕の大好きなインドの最高級綿”SUVIN GOLD”の糸を使って14ゲージで編み、秋冬は、超細番手SUPER140のウール糸を使用してさらに高密度の18ゲージにしたので、糸の自然な光沢感も出て、肌触りも滑らかで、やっと納得のニットに仕上がりました。
High Gauge Crew Neck Knit
High Gauge High Neck Knit
ただ、それさえあればいいと言っても、気に入ってほぼ毎日ずっと着てたら、どんな上質なものでも必ず劣化してきます。そうすると次のシーズンに買い替えたいと思うんだけど、その時に同じ商品がないなんてありえない。でもそれが多くのデザイナーズブランドの常で、僕はそれが嫌なので、欲しいときにいつでも入手できるように、Graphpaperでは同じものをずっと作り続けているんです。それに、変わらずに同じものを着続けている人がかっこいいという持論があるので、毎回着るものをコロコロ変えるのではなく、自分のスタイルがしっかりある人の定番になってほしいという気持ちで毎シーズン展開してます。
サイズは、SSサイズに当たるウィメンズの00からオーバーサイズドのFサイズまで作ってますが、実際、Fサイズが人気です。他のブランドではハイゲージニットのでかいサイズは作らないから、Graphpaperに行き着いてくれているのかもしれません。ここまで大きいと、女の子が着ても可愛いし、どうせでかいなら、中途半端でなく振り切ったオーバーサイズ感が良いかと。
High Gauge Knit Vest
High Gauge Knit Cardigan
過去には、いわゆる某有名なニットブランドとのコラボも検討したりしましたが、価格やサイズなどの条件面の制約を考えると、自分たちで作ったほうが早いし納得のいくものが作れる。ここまでの形になるまでに、なんだかんだとアップデートを繰り返していて、袖の幅や袖つけを変えたり、その都度修正しながらバージョンアップしています。ようやくある程度、究極のところまで到達した感はあるので、2020年AW版を自分でも着て確認してみます。
High Density Knit Vest
もう一つが、ハイデンシティニット。こちらも春夏はコットンで作っていますが、秋冬は繊細なメリノウールを多本取りで編み立てて、なんと言っても、目が詰まっているのでめちゃくちゃ暖かい。畦編みというベーシックな編み方ですが、僕の理想とする編み目の立った畦編みは山形県寒河江のニット工場でないと作れない。他の工場ではこんなに畦の目がガリガリに立たないし限界まで度詰めできないんです。実は職人さんが自動編み機の針を自分で改造してて、だから目が詰められるんだけど、その分、糸量も多く時間がかかる。なので、Graphpaperの寸法で作ると一着作るのに、丸一日かかるんです。だから、なかなか型数を増やせないところを、少しずつオーダー数を増やして信頼関係を築きながら、ようやくもう1型増やしましょうということで、20SSシーズンからベストが増えました。
High Density Crew Neck Knit
High Density Crew Neck Knit
これに関しては、特別な糸を使ったら価格も上がってしまうんで、普段ガシガシ着られるように、春夏と秋冬、それぞれ一番安定して流通しているものの中から、この目を立たせるのに適した糸を職人さんと一緒に探して作ってるんです。畦編みって一歩間違えると野暮ったくほっこりするけど、これだけ目が立ってるとシャープに見えるし、すごい度詰めしてるんで風を通さず、かなり暖かいです。
High Density Cardigan
ということで、Graphpaperの秋冬のニットは、ハイゲージとハイデンシティに、クルーネック、カーディガン、タートル、ベストがあれば充分、他には要りません。そして、シーズン中もガシガシ着倒しても大丈夫なように、翌年も同じものを展開していきます。